よく聞け、
金を残して死ぬ者は下だ。
仕事を残して死ぬ者は中だ。
人を残して死ぬ者は上だ。
よく覚えておけ
この後藤新平氏の名言と同氏の生き様から「清貧」の精神を見る。
同氏は、外務大臣等を歴任し、関東大震災の復興計画を立案するという辣腕を振るう大政治家であったが、読売新聞の経営再建のために自宅を抵当に入れてまで金を貸したりと、死後には借金が残ったという。無私の精神で世のため人のためになる活動をし、要すれば私財を投げ打つ覚悟を備えることを、武士道とは言わずに何とするか。
「清貧」という言葉は、美学に富んだ美しい言葉であるはずが、どうも世間では表面的に捉えられている。
この言葉は、現代の拝金主義/物質主義へのアンチテーゼでもあり、最近の「エコロジー」や「スローライフ」といった言葉の類義として、あくせくと働いて金儲けをせずに、シンプルで質素な生活を心がけ、精神的な豊かさを求める考え方とされている。しかし、それでは世捨て人(または引きこもり)の自己満足である。「自己中心主義」の観点からは、私腹を肥やす者たちと同類と言わざるを得ない。
世の中の発展のために没我の心境で行動すれば金に溺れることはないし、常住死身の覚悟を備えていれば自ずと生活様式もシンプルに洗練される。その先に真の「清貧」があるのだと思う。
最後に、清貧について綴られた太宰治の文章を紹介する。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/2275_15068.html
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